ヨーロッパでは中世の頃から羊や山羊、牛からミルクを取っていましたが、16世紀に入ると、乳牛を主体にした 搾乳が行われ、1日2回、ミルクメイドと呼ばれる牛係の女性によって、一滴残らず搾り取られていました。このミルクはバターやチーズに加工され、保存食として利用されたのです。
庶民の間で牛乳が飲まれるようになるのは18世紀に入ってからで、今度はミルクレディーと呼ばれるミルク売りの女性が現れます。ミルクレディーは搾りたての新鮮な牛乳を缶に入れて天秤棒で担ぎ、早朝売り歩きました。この習慣がやがてミルクマンになります。
牛乳は新鮮でなくては飲めなかったので、最も新鮮さを売るために牛を連れ歩き、その場で搾って売ることもありました。ロンドンのセントジェームスパークでは、日曜日に牛を連れてきて、搾りたての牛乳を売るのが呼びものでした。
やがて牛乳はココアやコーヒーに使われ、紅茶にも入れられるようになります。使い慣れた物だからこそ生まれたミルクと紅茶の出会いでした。